
春はやわらかな柳の新緑が彩り、夏は鮎、秋にはサケがのぼる美しい中津川。そのほど近く、城下町の面影を残す紺屋町に、菊の司酒造があります。 創業元和年間(1615~1623)、伊勢松阪から陸中郡山(紫波町日詰)に移った初代平井六右衛門が御宿を開業したのが始まり。その後、安永年間に六代目六右衛門が酒造業を始めてから今日まで、造り酒屋として240年もの伝統を築き上げてきました。
和の乱れた蔵の酒は、味にとげがある。調和のとれた蔵の酒は人を和ませる、いい味になる。
水の違いによって、吸水の加減や仕込みの加減が微妙に変わります。年毎に違う米の質、日々の天候や気温を見極めながら、長年の経験と勘で酒づくりに采配をふるい、伝えてきた技術が酒造りに携わる一人一人に受け継がれているのです。
酒は、生き物。時として、魔物。
「どんなに腕のいい杜氏でも、一人で酒づくりはできない。米と水、そして蔵人がひとつにまとまって初めて、いい酒ができる」
和をもって、酒づくりの心とする。それが、菊の司酒造の酒造りなのです。
「菊の司」と「七福神」。この2つが、菊の司酒造を代表するブランド。
現在は、盛岡市本社の菊の司工場で全て醸造されていますが、平成17年度までは石鳥谷の七福神工場でも一部商品の醸造を行っておりました。
盛岡市中心部を流れる清流「中津川」の伏流水を井戸から汲み上げ、仕込みをはじめ全ての工程に使用しています。
菊の花は格調の高い香りの良い大輪の花を咲かせ、花の世界の司(王様)です。「菊の司」の菊という文字は酒と大変関係があり「菊一輪、世界の花の司かな」という句にちなみ、花の世界と同様、酒の世界でも司になれるようにとの願いを込めました。
「七福神」は七柱の福徳の神様である大黒天・蛭子・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋のめでたさにあやかるようにとの願いを込めました。